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音を通じて世界に触れる

私たちが普段、コンサートホールやライブハウス、スマートフォンなどで親しんでいる音楽や音の作品世界。「とけあうひびき」では、そこから一歩踏み出して、ギャラリー空間を用いた音の作品展示を通して、聴覚だけでなく、視覚や触覚など人間の持つ感覚を複合的に開きながら、音の世界を体感する展覧会をお届けします。
フェリス女学院大学音楽学部で教鞭を執る3人のアーティストと音楽学部の学生たちによるサウンドアート作品から発せられる、さまざまな音や響きがとけあう展示空間で、音を通じて世界に触れる体験をお楽しみください。

出展作家

瀬藤康嗣(せとう・こうじ)

[音楽学部准教授]

アーティストコレクティブROOT CULTUREの代表として、鎌倉を拠点に多くのアートプロジェクトやイベントを企画運営しながら、国内外で作品発表をしている。近年の主要なプロジェクトとして、NY・メキシコシティ・鎌倉での滞在を経て制作された舞台作品『PIECE WITH GAPS FOR EACH OTHER』(2017-2019)、果実や樹木に直接耳を当てりんごの樹木の生体電位から作られた音を聴く『APPLE PHONE りんごのヘッドフォン』(2020-, 福島、弘前)、作曲家テリー・ライリー氏の音楽教室『KIRANA EAST』(2022-, 鎌倉)など。

「音と音楽の境界線はどこにあるのだろう?」という問いをもちながら、今回は風と植物を主要な素材として用い、原始的な「音」や「音楽」が立ち上がるような場作りを目指します。
音を聴く茶会『大気の入り江』やフルクサス作品の上演 * を行う『フル草津』で協働してきたデザイナー三浦秀彦と、鎌倉の制作拠点『R∞∞T Lab.』で共に活動しているアーティストMichael Frank(生意気)とのコラボレーションで制作します。

* 1960年代にニューヨークから世界的に広まった芸術運動フルクサスは、昨秋逝去された神奈川県民ホールの前芸術監督・一柳慧や、オノ・ヨーコらも参加した。音楽における楽譜に替わるものとして、言葉で綴られたインストラクション(指示文)が数多く作られ、それに従ったパフォーマンスが行われた。

瀬藤康嗣+三浦秀彦
《ササさささ》
「音」としてギリギリ聞こえるかどうかの微細な「気配」と「揺らぎ」を感じる場。インストラクションは以下の通り。

  1. 風でなびく、葉のたくさんついた竹(もしくは樹木も可)を2本用意する。長さは展示スペースの長辺の半分〜8割くらいが望ましい。
  2. 竹を、人の耳の高さくらいで水平方向に横たえ、2本をおおよそ平行に設置する。
  3. 竹の葉がなびくよう、扇風機で風を当てる。
  4. 目ではなく耳や肌で風を感じられるよう、照明はできるだけ暗くする。

瀬藤康嗣+三浦秀彦
《もうにんげんはつかれた》
五行(火水木金土)の要素を用いた枯山水のような空間の中で、植物の生体電位を音に変換するデバイスを用い、植物だけのバンド「もうにんげんはつかれた」** による自動演奏を行います。Michael Frankとのコラボレーションによる屋台〈Nobody from Nowhere〉もバンドメンバーとして参加します。

** 命名は新潟在住のビーガン料理家yoyo. による

瀬藤康嗣+Michael Frank 《NOBODY From NOWHERE》
普段は、瀬藤とマイケルが拠点とするNOWHERE BREAD=今此処商店にある、移動式の無人自動演奏屋台。今回は「もうにんげんはつかれた」の一員として参加。

瀬藤康嗣+三浦秀彦
《横になる浜》
今回の会場の立地が、「横浜」の語源となった「横長い浜」のある横濱村のある場所だったという史実を踏まえ、会場のすぐ外に設置されたマイクから聞こえてくるリアルタイムの横浜のサウンドスケープを、浜辺でくつろぎながら聴くようなディープリスニングのための空間です。

瀬藤康嗣+三浦秀彦
《風が吹けば》
風が引き起こす、予測できない不確実な音のフィードバック。インストラクションは以下の通り。

  1. 高さ5メートル以上ある天井の高い場所を使う。
  2. マイクを長いマイクケーブルに接続し、天井から吊る。マイクケーブルのもう一方をアンプに入力する。
  3. マイクの真下に、アンプに接続されたスピーカーを置く。
  4. 3方向からマイクに風を当てる。風を受けやすくするため、マイク周りをさまざまな植物で装飾する。
  5. 風量やアンプ音量を調整してハウリング音を調整する。できるだけ単純なセッティングから、できるだけ複雑かつ有機的な音が出る状態を目指す。エフェクターを用いても良い。

中西宣人(なかにし・よしひと)

[音楽学部准教授]

楽器デザイナー、サウンドデザイナー。フェリス女学院大学准教授。株式会社A-KAK取締役。多様な奏法に対応する音楽インタフェースや楽器開発の研究に従事。開発した楽器やそれを用いたパフォーマンスは、これまでに千代田芸術祭(岸野雄一賞)、Asia Digital Art Award、Laval Virtual、New Interface for Musical Expression、Margaret Guthman Musical Instrument Competitionなどに入選。企業や教育機関との楽器開発、展示作品や製品開発、サウンドデザインなど、音と音楽を中心として多角的に活動している。

photo by Shinsuke Yasui

《On The Waves: stillness》
水滴や霧、波紋をアクチュエータとして用い、音響をつくりだすインスタレーション作品です。水にまつわる様々な現象により、時々刻々と変化する「演奏」の実現を試みます。

《Infernal Machine: motion》
複数のスピーカが、自分自身で位置情報をセンシングし、動き出し、音響をつくりだすインスタレーション作品です。通常自ら動き出すことのないスピーカを解き放ち、空間を「演奏」することを試みます。

中西宣人+赤川智洋
《Feelings of Droplets: device》
「水滴が落ちる」というひとつの小さな事象について、落ちた振動と音の関係性を、デジタルメディアを通して考えるインスタレーション作品です。
本作品はアーティスト赤川智洋(サウンドデザイン: 中西)による作品「水滴の触り心地 Feelings of Droplets」をもとに、デバイス作品として再構築したものです。

sawako

[音楽学部非常勤講師]

サウンド&メディアアーティスト。フィールドレコーディングやテクノロジーを用いて、ドリーミーでイマーシブな空間やアンビエンスを紡ぐ。WiFi電波からイルカの音世界まで、人体の感知能力を超えた様々な周波数についての作品も制作。これまでに、Patagonia社製作の木についてのドキュメンタリー「Treelines」などに楽曲が使用され、NYのP.S.1/MoMAやスペインのSonarフェスティバル等でパフォーマンスや展示を行なってきた。慶應義塾大学環境情報学部卒業、New York大学 Interactive Telecommunication Programで修士号取得。

photo by Akihiro Yamaguchi

photo by Akihiro Yamaguchi

《夢音粒 floating sound particles》
月夜の水面、水鏡
闇にとろけて、響映す
光の鼓動、音となり
生々流転、星流る
時空の結晶、波粒一雫、天と地をむすひ
反射と夢想、静けさの霧窓、月を讀む

今回の作品は、初めて県民ホールギャラリーに下見に伺った際の「空間をモノで埋めるのではなく、生かしてほしい」という言葉から育っていきました。音・光・周波数などを用いて、手に触れることのできない空気の流れや気配、空間を紡ぎ、時とともに変化したりしなかったりする作品です。最終日はオルガニストでもある早川幸子さんの笙と一緒に響きを会場空間に添えます。

フェリス女学院大学 音楽学部生

  • 井出萌絵香(3年次)
  • 乾花菜(1年次)
  • 井上莉那(3年次)
  • 柿川穂香(2年次)
  • 杉本和香(2年次)
  • 高橋陽南(3年次)
  • 常盤優菜(4年次)
  • 星杏優菜(4年次)

音とメディアテクノロジーゼミ共同制作作品

音とメディアテクノロジーゼミ共同制作作品

キュレーター

難波祐子(なんば・さちこ)

キュレーター。弘前れんが倉庫美術館アジャンクト・キュレーター。東京藝術大学キュレーション教育研究センター特任准教授。東京都現代美術館を経て、国内外での展覧会企画に関わる。著書に『現代美術キュレーター・ハンドブック』『現代美術キュレーターという仕事』〔ともに青弓社〕など。企画した主な展覧会に「こどものにわ」(2010, 東京都現代美術館)、「呼吸する環礁:モルディブ-日本現代美術展」(2012, モルディブ国立美術館、マレ)、「坂本龍一:seeing sound, hearing time」〔2021, M WOODS Museum | 木木美術館、北京〕など。

会場の様子

音楽学部生出展作品

インスタレーション作品

常盤優菜(4年次)

《音微鏡》

映像の効果音には、収録の際に録音される音とは異なる方法で、映像の状況にあった音を再現する「フォーリーサウンド」を用いています。音の差異による違和感から、日常音に意識を向ける作品です。1番と2番、どちらの効果音がフォーリーサウンドなのか、予想しながらご視聴ください。

星杏優菜(4年次)

《おたまじゃくしを用いた音楽生成装置》

音符をおたまじゃくしに例えたこと、ありませんか?
本作品ではその構図を逆転させ、おたまじゃくしを音符として見立て、生きている音符として扱っています。
おたまじゃくしがカエルになるまで、そのとき、一度きりの儚い音楽に耳を澄ませて――

井出萌絵香(3年次)

《Bodyhair》

《Bodyhair》は、ホルモンとボディーヘアにまつわる映像音楽作品と、来場者参加型の絵本を用いたインスタレーション。身体の自己認識や毛にまつわる自身や他者の成長を、鑑賞と対話を通して感じる空間・・・

「思いはここに。動けるといいな。」

柿川穂香(2年次)

《カーテンに融けた白昼夢》

カーテンレールが音を立て、窓の外の世界の“誰か”の日常を想像するとき、
前触れもなく涙が出た。
誰かが拭ってくれるならば、優しさに触れられるのだろうか。

白昼夢と現実の狭間で意識を取り戻すまでの時間を時報の音で表現。自分ではない、自身(潜在意識)と対峙するインスタレーション。

映像作品

井出萌絵香(3年次)

《夢は全部おみとおし》










すべてが混ざり合った夢をじっくりと味わう時間です。。。

井上莉那(3年次)

《VARETAI》

「散歩×バレンタイン」
シンプルに即時的伝達効果がある「ピクトグラムが歩くスタイル」のアニメーションで表現しました。
右から左+上から下の流れも楽しんでみてください。
使用ソフト:Ableton live/Adobe After Effect

高橋陽南(3年次)

《残る灯》

大人になったところで、場所や環境・肩書きが変わったところで、存外変わらないものだなと、自分自身を振り返りながら作詞作曲しました。変に肯定も否定もせず、ただ私は「私」で在りたいだけなのに、在ればいいのに。はっきりと言葉にするには曖昧な想いが、この曲を聞いてくださるどなたかに届けば幸いです。

柿川穂香(2年次)

《誰も知らない太陽》

自分にとって陰の部分。月のような。周りから見れば死角であるその一片が、孤立すればするほど、大事にしたくなるものがある。

杉本和香(2年次)

《Frequency Art》

AIが作成した楽曲の波動を、processingで周波数を映像に変換させるコードをプログラミングして、アート作品にした。ジャニーズなどのアイドル、アーティストのコンサートのバックに流れている映像をイメージして制作。ラストはアクリルスタンドを使用して、そのイメージを表現したもの。

乾花菜(1年次)

《nova x》

解説:novaは新星という意味で、xは第一未知数を表しています。私は楽器も弾けないし、音楽知識もありません。この作品は映像も音楽も全て直感で作りました。
あと何日も経たない内にどんどんロボット化していくこの世界に、少しでも人としての感性を忘れないで欲しいと願い制作しました。

音とメディアテクノロジーゼミ共同制作作品

《魔法少女コスメ☆チカ》

音とメディアテクノロジーゼミでは、ゼミ生が自分自身の制作テーマや方法を探求しながら各自で作品を作りながら、一方でコラボレーションを通じて自分ひとりでは得られない視点を獲得していきます。この作品はゼミ生による共同制作で作られたオリジナルの音楽と映像です。

関連イベント

オープニングトーク

「サウンドアートって何?」

瀬藤康嗣、難波祐子(キュレーター)、中川克志(横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授)

日程|3月18日(土) 15:00開始
場所|第5展示室
料金|無料
予約|不要

「『とけあうひびき』づくり」

中西宣人

本展覧会のテーマである「とけあうひびき」を軸とした楽器づくりのワークショップです。今回のワークショップでは、電子楽器キットを使って「響き」をつくり、会場内の様々な音環境の中で演奏し、参加者全員で響きをとけあわせます。専門的な知識はいりません。是非ご参加ください。
(※本研究はJSPS科研費 JP22K18142の助成を受けたものです。)

日程|3月21日(火・祝) 13:00-15:00
場所|ギャラリー内特設会場
対象|中学生以上(※小学生以下は保護者同伴で参加可能)
料金|500円
予約|要予約(定員10名)
お申し込み|3月14日(火)までにお申し込みください。定員になり次第、締め切らせていただきます。 3月21日(火)12時まで申し込み期間を延長します。なお、定員になり次第、締め切らせていただきます。

「汽笛のritural〜息と風と波と」

sawako

オルガニストとして日々奏楽を紡いでいる早川幸子と、フィールドレコーディストとして日々街や森の中で耳や体を開いているsawakoによる、笙と声による日常の延長のふるまい。空間に捧げる響きと共振。明治時代から続く汽笛の波音とともに。

日程|3月23日(木) 11:55-12:15予定
場所|第3展示室・第5展示室ほか
料金|無料
予約|不要

クロージングパフォーマンス

瀬藤康嗣、中西宣人、sawako

日程|3月25日(土) 15:00開始
場所|第5展示室ほか
料金|無料
予約|不要

オープニングトーク

「サウンドアートって何?」

瀬藤康嗣、難波祐子(キュレーター)、中川克志(横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授)

日程|3月18日(土) 15:00開始
場所|第5展示室
料金|無料
予約|不要

「汽笛のritural〜息と風と波と」

sawako

オルガニストとして日々奏楽を紡いでいる早川幸子と、フィールドレコーディストとして日々街や森の中で耳や体を開いているsawakoによる、笙と声による日常の延長のふるまい。空間に捧げる響きと共振。明治時代から続く汽笛の波音とともに。

日程|3月23日(木) 11:55-12:15予定
場所|第3展示室・第5展示室ほか
料金|無料
予約|不要

「『とけあうひびき』づくり」

中西宣人

本展覧会のテーマである「とけあうひびき」を軸とした楽器づくりのワークショップです。今回のワークショップでは、電子楽器キットを使って「響き」をつくり、会場内の様々な音環境の中で演奏し、参加者全員で響きをとけあわせます。専門的な知識はいりません。是非ご参加ください。
(※本研究はJSPS科研費 JP22K18142の助成を受けたものです。)

日程|3月21日(火・祝) 13:00-15:00
場所|ギャラリー内特設会場
対象|中学生以上(※小学生以下は保護者同伴で参加可能)
料金|500円
予約|要予約(定員10名)
お申し込み|3月14日(火)までにお申し込みください。定員になり次第、締め切らせていただきます。 3月21日(火)12時まで申し込み期間を延長します。なお、定員になり次第、締め切らせていただきます。

クロージングパフォーマンス

瀬藤康嗣、中西宣人、sawako

日程|3月25日(土) 15:00開始
場所|第5展示室ほか
料金|無料
予約|不要

アクセス

神奈川県民ホール

〒231-0023 横浜市中区山下町3-1
電話 045-662-5901(代表) / FAX 045-641-3184

みなとみらい線「日本大通り駅」徒歩約8分
JR・市営地下鉄「関内駅」徒歩15分

お問い合わせ

フェリス女学院大学 演奏会室(山手キャンパス8号館)
TEL: 045-681-5189(月-金10 :00~16 :00、授業期間外は臨時閉室あり)
Email: concert_office@ferris.ac.jp

主催|フェリス女学院大学音楽学部
共催|神奈川県民ホール
助成|公益財団法人かけはし芸術文化振興財団
協力|株式会社イースタンサウンドファクトリー

この展覧会は、神奈川県マグカル展開促進補助金の助成を受けて実施しています

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